御食事件

低温調理器を自作する

2016033008

みなさんは低温調理ってご存知でしょうか?
一般的に食材に含まれるタンパク質は、58℃で凝固しはじめ60℃で凝固し、68℃を超えると水分が抜け始めます。(分水作用)水分が抜けるということは硬くなったりパサついてしまうことはもとより、水分と一緒に旨味が流れでてしまうなどデメリットが多いのです。

低温調理は分水作用が起きない低温度で食材を加熱することで、通常の加熱方法とは違う結果を得られる調理方法です。 「確かに火は入ってるけど生みたいなフレッシュさ」とか「水分がほとんど逃げずにジューシー」など、グルメマンガの定番コメントみたいな料理がつくれる(可能性がある)調理法で、一昔前のガストロノミー(美食学)の主役でした。(今では更に技術が進んで最先端とは言いがたいです)
相当端折って説明してますが、詳しくはGoogle先生に聞いてください

最近ではこれを家庭で簡単に実現するための装置なんかが発売されたりしてグっと身近になって来ました。なにしろ「料理は家事ではなく趣味」という連中にとってこんな知的欲求をくすぐるオイシイテーマはなかなか無いので、筆者もご多分に漏れず興味津々です。

しかし低温調理器はなかなかのお値段でして….
Nomiku Sous Vide Immersion Circulator ¥ 45,170-
Anova Culinary Precision Cooker ¥ 32,000-

….と、こんなものを趣味のために購入してたら家族会議モンなので、仕組みを理解して自作しようというのが今回の試み。

実際に上記の低温調理器を買っているブルジョワ人の使用レポートなんかを見る限りでは、サーモセンサー(温度計)と水中ヒーターと水を撹拌するためのプロペラかポンプが付いており、設定した温度になるまでヒーターで水を温め、設定温度になるとヒーターを止める(最中に水を撹拌して温度を均一にする)というプロセスを電子制御している温度調節器としてはシンプルな物で、それらに付加価値(登録レシピやタイマー、スマホ連動など)がついているオールインワンな機械のようです。

要は…

  • 水温をリアルタイムで監視してヒーターをon/offする装置
  • 温度を保つための水中ヒーター
  • 水温を均一にするために撹拌する機能

があれば最低限の機能は満たせるので、これらの条件を満たしながら…

  • タイマーやスマホ操作のような機能は省く
  • オールインワンは難しいので今回はパス
  • なるべく手元にある工具や道具で作れるもの
  • 低予算

という条件で自作します。

必要な物

■サーモスタット
温度を監視して、条件を満たすとスイッチをon/offしてくれる機械です、今回の装置の心臓部、発酵・園芸・燻製などの繊細な温度管理が必要な物で広く利用されていて、ピンからキリまでいろんなものがあります。
今回選んだのはこれ
デジタルサーモスタット 決定版 3路回路 温/冷 両対応 発酵 醸造 燻製 温室 園芸 用の部品
電光パネルが大きくて見やすいのと、ヒステリシス※が1℃単位で設定できるのと日本語マニュアルがついてるのがgoodです。

■水中ヒーター
サーモスタットの制御に応じて水を温めるヒーター 熱帯魚用のものを使います。
熱帯魚用のヒーターは100リットル近い水を常温に温めるくらい強力なので、せいぜい10リットルも無い水を温めるのには十分すぎる性能なので、100W~200Wあたりのもので一応安全のためにカバーやガードがついてるものがいいと思う
ニッソー プロテクトヒーター 150W

■水流ポンプ
温めた水を撹拌して温度を均一にするための物 これも熱帯魚用の水中ポンプを流用、水が撹拌できればいいので性能は不問
AC 110V 3W 小型水中ポンプ 流れ調節可能 …

重要なのはこの3つで、あとは適当に家に転がってるものを使うことにしました

そうしてできたのがこちら…

2016033001

余ってたタッパーのサイズがちょうどよかったので流用しましたが、100均にいけばいくらでもあると思います。

背面、色んなゴミ物が写り込んでますが気にしてはいけない

2016033002

コンセントの穴は工作用カッターで開けました

配線

2016033003

配線はちょっと悩むかもしれませんが、だいたい説明書きを見ればわかるず

あとは水中ヒーターと水中ポンプを発泡スチロールの箱にセットして

2016033004

箱のヘリの部分に配線用の穴を開けておくと蓋がしめやすくてよい

ヒーターと食材の間に中敷きを作って(工作用のカラースチロール板を適当に切った物に家に転がってた野菜保存タッパーの中敷き)

2016033005

ポリカネジをセメダインXで接着して中敷きのダボにしてます

中敷きをヒーターの上にはめ込む(右側に見える白い線は本体から伸びてる温度計)

2016033006

水を入れると浮いてきますが、食材を入れれば沈むので問題ナッシング

実際に動作させてみました。白いコンセントがヒーターで黒がポンプ

2016033008

市販品に劣るとも勝らない素晴らしい出来です。

ここで気づいた方もいるかと思いますが、今回あえて金属を一切つかってません、中敷きなんかはバーベキュー用の網を曲げたりしたほうが楽かもしれませんが長時間水に浸かるためお手入れを怠るとサビてしまうリスクを考えて金属類の使用は避けました。 お手入れができる正常な精神の持ち主の方は使えるところは金属部品を使ったほうが楽だと思います。 また箱は普通の鍋でもいいし衣装ケースみたいなプラの箱でも70℃くらいまでのお湯が入って問題ない容器ならなんでもいいと思います。
今回は自作したベーコンやロースハムなんかの加熱殺菌にも使うため横長の発泡スチロールの箱をチョイス、材料費は全部で6000~7000円くらいでした。
当然のことながらヒーターやポンプを電熱器に変えれば燻製の温度管理にも使えます。(燻製用のサーモスタットってなんかしらんけど高いよね)

サーモの配線とかわからんって人はこんなのもあります
機械音痴でも手軽に使えるデジタル温度調節器
自作するより若干割高ですがこれにヒーターとポンプをつなげるだけで楽です。

※ヒステリシスとは
設定した以上の温度になってから、何℃下がると再度運転を開始するかの幅のことで
A.設定温度50℃でヒステリシス3℃の場合…
51℃でヒーターがオフになり温度が50..49..48℃になった時点でスイッチが入る
B.設定温度50℃でヒステリシス1℃の場合…
51℃でヒーターがオフになり50℃でスイッチが入る
 
Bの場合は50.9℃と51℃の間を行き来するような状態の場合、それこそヒステリックにオンオフが繰り返されるためよっぽど厳密な温度管理が必要な場合をのぞいておすすめしません。
ヒステリシスは2~3℃くらいがおすすめです(設定できないものはだいたい2℃で固定のものが多い気がする)

近いうちにこの低温調理器で作った簡単なものをご紹介します。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA